打ちこみ稽古

理系大卒社会人です。 趣味のゲームやアニメについて書いてます。スプラトゥーン2/ウデマエX/パワー2600/BeatmaniaⅡDX/SP皆伝

リズと青い鳥(響けユーフォニアムの新作劇場版)の感想&初日舞台挨拶に行ってきた話(更新途中)

リズと青い鳥を劇場に行くか悩む人のために先にネタバレなしの感想だけ書きます。(4/24追記:中途ですが追記しました。そのうち2回目を見に行き更新をしたいです)

 

率直な感想を述べると、しっとりとした面白さでした。「しっとりした」というのはこれ以上言及するとネタバレになるので避けますが、面白いことは間違いないです。響けユーフォニアムのアニメ1.2期、原作でいうと二作目の響けユーフォニアム2 北宇治高校のいちばん熱い夏まで読んでいる方なら非常に楽しめる内容のはずです。(「君の○は」のように完全に前情報無しで見ると面白さは薄い可能性もあるのかなと思いました)

 

映画の内容はアニメ2期以降、また原作小説響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前後編に相当する部分です。時系列としては久美子達が2年生になってからの話です。

 

素晴らしかった点としては

・ユーフォシリーズ特有の演奏、音の美しさ、表現力

・こまめに描写されるキャラの表情やしぐさ(特に顔と脚)

・「リズと青い鳥」の映画題目に忠実でわかりやすい原作抽出

が挙げられます

 

先述のアニメか小説を見た方はぜひとも音楽、音の演出が素晴らしいので、映画館で見ることをおすすめします。

 

それでは、ここからは私の完全主観による感想、考察、舞台挨拶のレポを記します

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下ネタバレあり

統括的な感想

先程も書きましたがしっとりとした面白さでした(2回目)。「しっとりとした」というのは静的であること、派手さは無いこと、落ち着いた中に無限の感情が込められていたなあぐらいの意味です。このへんは後述します。

 

私なりのテーマとしては「好きとはなにか」かと思いました。likeとlove以外でも好きの違いって大きいですね(まあ動詞と目的語その他の違いですが)。現実の残酷さ、辛さについてはいろんな人が言及している通りだと思います。

 

原作が発売されたのが2017/10/19だったので約半年前の記憶のみで公式サイトとPVは(私の趣向ですが)一切見ずに1回目を見ました。ストーリーの大筋はもちろん覚えていたのでだいたいこんな感じなんだろうな~みたいな正直期待半分の気持ちでした。見終えたあとは、単純に良い映画だったとは言うことができなく、頭にある情報が多すぎて整理できないことや希美、みぞれの心情を振り返ることで精一杯で、なにかに表現することができませんでした。というか今もできていません。しかし、90分という長い上映時間、鑑賞者の私を釘付けにし、一晩経っても内容について考察させるという点で面白いという評価は間違いないと思いました。

 

 

以下、私が気になった点のみ細かい感想を記述します。

 

リズと青い鳥、希美とみぞれ

 

はじめに物語の核心である、リズと青い鳥についてです。ここを読んでいる人は話を知っていると思うのでこれ以降の話でも、ある程度映画本編を理解している前提で書き進めていきます。

 

リズと青い鳥について特徴を書くと

リズ:一人で生活する少女、後に一緒に過ごした少女(青い鳥)を空に戻す

青い鳥:嵐の夜明けからリズと一緒に過ごし、ある日リズから別れを告げられ空へ行く

 

となっており、これを知った希美は

みぞれ:1年生のときに希美を吹部から失う、再び部に戻った希美と楽しい生活を送る、卒業後にまた希美を失ってしまう

希美:1年生のときに吹部を退部(みぞれのもとを離れる)、再び部に戻る、卒業後はまた進路が別れる

と置き換えることで自分とみぞれがリズと青い鳥に似ているを考えました。また、日常的にも、みぞれは希美を中心として考えていること、希美の快活な振る舞いや行動からもこのように考えるのがある意味自然でしょう。

 

しかしながら終盤の、みぞれと新山先生の対話においてリズ→希美、青い鳥→みぞれという見方もできることが示唆され、それまで自分をリズと見立てていたみぞれが青い鳥と見立てることで演奏が覚醒しました。

 

この場合は

希美:みぞれと自分は音楽の実力において対等であると考え、音大を志望したのもみぞれと肩を並べることができるかと思った。実際は希美はみぞれの才能に気づいており、先のステップに進むことができるかもわかっているが、みぞれの音楽が好きであるため嫉妬、葛藤する

みぞれ:希美と一緒に生活することは楽しいが、自身のオーボエの才能、実力を鑑みると希美とは異なる進路を選ぶ必要がある。みぞれは希美の「すべて」が好きであるため希美から離れたくない。

と見立てられるのでしょうか。これについて、みぞれは希美に合わせるためにソロの演奏のレベルを落としていたとは思いません。原作でもみぞれのソロは譜面通りに百回吹けば百回同じ完璧な演奏ができると書かれておりました。最後のソロ覚醒は感情が乗ったことによるものだと考えられます。(ちなみに原作だとソロ覚醒がすごすぎて音楽室内が阿鼻叫喚になって練習に休憩が入るレベルでしたが映画は割とマイルドでしたね)ここで2人はリズと青い鳥の役割や互いに互いをどのように思っているのかを言うクライマックスを迎えておしまいって感じでしたね。

 

原作でもそうでしたが、リズと青い鳥の一番の核心はこのどちらに自分を重ねるかのミスリードを誘い、それぞれの心境を考える点だったと私は考えています。

 

例えばこちらは公式サイトのこのポスター絵

 

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『リズと青い鳥』公式サイト

 

窓の後ろのリズと少女、みぞれと希美の立ち位置が一致していますよね。

こちらでも

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『リズと青い鳥』公式サイト

みぞれは青い鳥を見つめていて、希美は空を見つめています。

 

それ以外にも本編でも青い羽を希美が拾い、みぞれに渡すシーンと童話パートでリズが深夜にこっそり外出した少女の落とした羽を拾うシーンを重ねたり、みぞれが、ふぐのえさやりをするシーンがあったりといくつもそのようにリードさせる部分がありました。

 

これらを色々踏まえての2人がそれぞれの立場を入れ替えることに気づくシーン、覚醒シーンへと繋がる部分が一番印象的でした。

 

ちなみに原作を読んだときには、原作二作目(アニメ2期に相当)においてもみぞれの演奏が覚醒したシーンがあり、それの二番煎じでも来るのかなと邪推していました。このときはみぞれが希美に自分がどうでもいい存在だと思われている推測しすぎたことを希美自身から否定されることで覚醒しました。したがって、自分をリズと見立てたみぞれが何かしらの外的要素で考えが変わり、晴れ晴れと希美と別れようとするのかなあなどど浅い読みをしていました。

 

ちなみにリズと青い鳥の声優は同じ人が務めていたそうです。終わった後にエンドロールを見るまで気づきませんでした。公式ページには書いてあります。ここからも推測できるのでしょうかね。

 

最後の希美のありがとう

 

みぞれが覚醒ソロを吹いた後、希美は涙を抑えられずそのまま理科準備室へ行き、追いかけてきたみぞれに本音を吐露します。その後、みぞれがおこなった大好きのハグのとき、みぞれは

 

のぞみが優しくしてくれたこと、声をかけてくれたこと、部活に誘ってくれたこと、声、仕草、足音(記憶が怪しいです、ごめんなさい)

 

など(いや、足音ってとは思いましたが)たくさんの好きを希美に伝えましたが、希美はそれに対して

 

「みぞれのオーボエが好き......ありがとう」

と答えました。私はこれを見たとき、希美の返答すくないなあとしか思わなかったのですが舞台挨拶にて山田監督と東山さんが

 

あの「ありがとう」はThank you の意味ではなく、もういいよの意味です。

みぞれがたくさんの大好きを伝えてくれたけどその中に「希美のフルートが好き」が含まれていなかったことに対して、もういいよ、ありがとうと返しました

 

と述べており、鳥肌が立ちました。

 

統括でも書きましたが好きとはなにか、何が好きなのか、好きが一致していないこと、方向性が異なることがこんなにも残酷なのかと思いました。みぞれと希美は互いに好きなのでしょうが、何が好きなのかでこのシーンのありがとうがこんな意味になるとは、、、

 

OP(タイトル字幕→スタッフ字幕が出るところ)

こちらも舞台挨拶にて山田監督がおっしゃっていたのですが、OPはみぞれと希美のオーボエ、フルートの練習音からはじまりましたよね。あの音って互いのピッチが全然あっていなかったのも狙っていたそうです。私はOPを聞いたときピッチが違うまでは気づきませんでしたがなにかしっくりこないと思いました。この物語は終盤まで2人の違い、噛み合わなさを描写することが多いです。まさか最序盤、それも重要なOPでそれを仕掛けていたことに驚きました。

 

山田監督は、オーボエとフルート奏者の方には朝練のときの音がそんなに出ない雰囲気でお願いしますとしか依頼していないそうで、噛み合ってない版と噛み合っている版の両方が録れたそうですが、こちらを採用したそうです。

 

演出・キャラ描写・作画

これが本当に素晴らしかったです。この作品は描写が素晴らしかったから成立したといっても過言ではありません。ユーフォ本編が、大会やオーディションに向けてキャラが動く動的な演出なのに対し、終始みぞれと希美の心情を描写した静的な本作を飽きずに引き込まれるのはこれらの要素のおかげだと思います。これに関しては書き出すとキリが無い&1回見た程度では全てを拾うことはできないためひとまず印象的だった部分を書きます。(追記:もう1回見てから書きます。

 

脚、足

山田監督といえば足といわれているほどに足の描写に力を入れているそうですが今回もそれを十分に感じました。

たとえば

・みぞれと希美の歩くシーンは足だけですが足運びだけでもその性格が伝わってきます。堂々としている、落ち着いているなど

・会話シーンで返答に詰まるとき、楽しく話すときなど足の動きが違う

・希美が新山先生に音大を受けることを話すとき、最後にみぞれに本音を伝えるとき、片足を後ろに折り曲げて地面を叩く

・ソックスの色、種類、上履きの色の違いを利用して会話シーンにもかかわらず足だけを写して誰なのかを見せる

などがありました。もっといっぱいあったはずです。

 

キャラ描写

・みぞれが前髪をかきあげる仕草をするときは独占欲、何かを抑えていることの表れ?(公式PVにも一箇所あります)

・希美の口角を上げて目を細める笑いはいつもの自分を作り出している?

 

(執筆中)

作画

最初のキービジュアルの段階から、今作は今までのユーフォシリーズとは異なる作画だと言われていました。当初は、私もこの作画に違和感を覚えましたが、この作品にはこの作画も良いなあと今は思います。今までの作画はいわゆる京アニっぽい作画でした。ユーフォシリーズは動的な物語であるのに対してリズと青い鳥は2人の少女の心情描写、コップに入れた今にも零れそうな水が表面張力で保たれているような緊張感、儚さが特徴であるため、今回のような線が細く、淡い作画がぴったりだと私は思いました。

 

その他感想

・剣崎梨々花のキャラ

ダブルリードパート、しかもオーボエということでみぞれの直属の後輩として登場した新一年生の剣崎梨々花ちゃん。いいキャラしていましたね~。みぞれと仲良くなりたくてお茶会に誘ったり、リードをつくってもらったりと2人の距離が縮まっていく会話パートでほっこりしました。(なにげにみぞれが下の名前で呼ぶ人って南中カルテット以外だと梨々花がぐらいでは?)ゆでたまご、持ち歩いているのかい!「鎧じゃなくて...剣崎りりかです」って鎧と剣でかけてたのも好き。今後、奏とのかけあいが楽しみですね。

 

・ソロ

オーボエが他の楽器を全てかき消すような勢いのみぞれのソロでした。正直、これを聞くためだけに映画を見に行っても損はないと思います。

作中BGMとしてしばしばリズと青い鳥の第三楽章が用いられていたので、覚醒演奏シーンに入ったときに、これそんなに変わってないなと思ったのですが、後半のソロでやられましたね。フルートが全然入ってこれないのも相まってみぞれの青い鳥として、離れたくないけど離れることが一番だと割り切って堂々と吹いた様子が本当にありありと伝わってきてよかったです。映画館では、何箇所からかすすり泣きの音が聞こえてきました。

 

・男子

部費は払おうな

 

劇場版三部作としての立ち位置

今回、響けユーフォニアムは劇場版三部作として制作されています。

一作目がTVアニメ2期の総集編(ただの総集編ではなく素晴らしいものでしたが)

二作目が今回のリズと青い鳥

そして残りは三作目となります。

 

二、三作目は原作小説の 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前後編、久美子たちの2年生編となっています。

 

したがって三部作は原作のみぞれと希美に関する部分以外を抜いた部分が取り扱われることになる可能性が非常に高いです。

 

リズと青い鳥を見ていると

・みぞれの演奏覚醒から、関西大会の結果を飛ばして描かれている

・オーディションの話があったが、結果を飛ばしてオーボエフルートのソロは決まっている(他のメンバーはよく見ると...)

・新一年生はすでに入部済

 

などとあくまでユーフォシリーズの話ではなく、完全にみぞれと希美の話に終始していることがわかります。

 

だからこそ、どこが重点的に取り上げられるか読めませんね。個人的にはオーディションまでの話が大好きなのでそこを取り上げてほしいです。

 

ユーフォシリーズの面白さの一つは群像劇であることだと考えています。みぞれと希美がこのように問題を抱えている一方で他の部員にも物語、その人なりの視点、考え方があることを楽しめることが楽しみです。ちなみに、リズと青い鳥も希美とみぞれのそれぞれの視点から見てみるとまた違った感想が出そうですね。

 

(原作小説二冊分を映画2本でまとめるの、無理でしょ...)

 

舞台挨拶について

今回は上映初日に舞台挨拶付きのチケットを購入しました。

場所は神奈川県の川崎チネチッタ

舞台挨拶に来た方は、監督の山田尚子さん、鎧塚みぞれ役の種﨑敦美さん、傘木希美役の東山奈央さんのお三方でした。

流れとしては、最初に映画を見てその後に20分ほどの舞台挨拶でした。

 

川崎チネチッタには、ユーフォ三部作第一弾の届けたいメロディのときも足を運んだのですが、LiveZoundという音響システムが素晴らしいです。詳しい説明は公式サイトをどうぞ。

cinecitta.co.jp普通の映画館とはかなり違うのでぜひお試しください。

 

舞台挨拶は大体20分程度でした。話した内容としては

・映画の感想

・映画中の描写について(前述)

・みなさんは希美とみぞれどっちに共感できる?

といったものでした。描写については印象深かったのでかなり覚えていたのですが、それ以外については映画を見終わった余韻もあってあまり覚えていません...

 

監督、キャスト等製作者側のお話を聞けるのはあまりない機会なので、(裏話も聞けたし)良かったです。(小並)

作者、監督の意図を話すのは無粋だと捉えるかは意見が分かれる所ですが、私個人としては、そのようなメタ情報が好きなので今回の舞台挨拶は非常に楽しめました。

 

公開前には、原作者の武田綾乃先生と山田尚子監督の対談のイベントもあったそうですね。次回の映画のときにまた開かれるようでしたら、そちらにもぜひ行ってみたいと思いました。

 

おわりに

リズと青い鳥、ぜひ劇場で見てほしいです。

ユーフォシリーズは音が特に素晴らしいので良い音響、映画館に行く価値もあると思います。

私の感想は私の主観で書いているので何か気になることなどがあればご意見いただければと思います。

ここまで長い記事を読んでいただいてくれた方、ありがとうございました。

 

 それにしても長い記事を書くのってすごい時間かかりますね、、、おわらないし書いてると次々と書きたいことが思い浮かんでしまう、、、(もうちょっと加筆するかも